タトゥーは皮膚に針を刺すため血液が出ます。血液には様々な感染症のリスクがあり適切な処理を行わなければいけません。
医療では大学で学び医療資格を取ります、カミソリなどを扱い血に触れる可能性のある理容師、美容師は国家資格、またネイリストも資格が必要で衛生管理について学んでいます。
しかし、彫り師には資格がありません。今の時代はネットで情報を調べられ衛生管理について学ぶことができ独学でもタトゥースタジオを開業することができますが、資格がない分お客様に安心して施術を受けて頂く為にも専門学校にて衛生学を学びネイリストの資格も持つ私が衛生管理について詳しく書いていこうと思います
血液から感染する可能性のある病気
B型、C型肝炎ウイルス
ウイルスに感染すると、免疫を担うリンパ球がこれを取り除こうと攻撃します。この時ウイルスだけでなく肝細胞まで攻撃してしまうことがあります。
肝臓は再生能力の高い臓器で、細胞が破壊されてもしばらく経つと再生します。しかし何度もこのことが繰り返されると肝臓が硬くなり肝臓の動きが低下してしまします。これが肝硬変です
血液の他、体液や母子感染といった感染経路で感染し急性肝炎と慢性肝炎があります。慢性の場合ほとんどが無症状のまま経過しますが、そのまま肝硬変や肝臓がんに進展する場合もあります
症状は体がだるく感じたり黄疸、発熱、下痢白い便、右脇腹の痛み等があり、全世界で3億5,000万人が感染していると言われ日本でも130万人感染者がいると推計されています(約100人に1人)
しかし、感染したとしても大人の場合自身の免疫機能により約90%の割合でウイルスを排出することができ、多くの場合が無症状のまま自然治癒することも分かっています
ヒト免疫不完全ウイルス(HIV)
免疫系の損傷、脳や心臓等の臓器に感染し疾患を引き起こし細菌やウイルスに対しての免疫機能を失い、様々な感染症にかかりやすくなります。
急性期は2−4週間で発症しますがそれを過ぎるとなんの無症状の期間が長くありますが症状はなくとも体内ではHIVが増殖し続けており免疫力は徐々に低下していきます
感染経路は、針の使い回しによる血液感染、粘膜接触による感染、母子感染です
血液に関しては熱やアルコールに弱く体外で乾燥、凝固すると感染力は失われます
全世界での感染者数は約3,770万人。厚生労働省の出している2021年までの日本の感染者数は33,503人(約3700人に1人)となっています
現状では完治する方法はありませんが薬により適切な治療を継続することによりHIVの増殖を抑えることが可能です。
市の定める衛生管理
理容、美容所に向けてカミソリなどタトゥーと同じように血液の不着する疑いのある物の消毒、感染症廃棄物の処理に対し横浜市が指定している対応手順
家庭用洗剤で洗ったのち器具によって適した消毒を行う
・煮沸消毒 沸騰して二分間以上
・エタノールによる消毒 10分以上浸す
・次亜塩素酸ナトリウムによる消毒 10分以上浸す
感染症廃棄物の処理
オートクレーブ、乾熱滅菌器を用いて滅菌
廃棄物は他のものと区別し専門の廃棄業者に廃棄を依頼
タトゥースタジオで使われる衛生管理器具と効果
超音波洗浄機
超音波により振動させ細かい汚れなどを洗浄する機械です
殺菌前に汚れを落とすために使用します
オートグレーブ
水に圧力を加え煮沸より高い温度で殺菌できる機械です
121℃で20分程も加熱処理を行いウイルスや微生物を滅菌しB、C肝炎HIVに有効です
オートクレーブはクラスによって性能が異なり殺菌する物によって適切な機器を選ぶ必要があります
そして厚生省による規則で小型の場合は日々のメンテナンスと一年に一回自主点検を行います。耐久年数は10年なのでそれごとに買い換える必要があります
紫外線殺菌器
紫外線によりウイルスのDNAを破壊し死滅させます。
あらゆる菌、ウイルスに有効ですが物の影になって紫外線が当たらない部分には作用しないのと照射中はヒトにも有害なので扱いに気をつける必要があります
ランプの寿命は3000〜4000時間
タトゥー衛生管理まとめ
主に血液により重大な感染症が発症するリスクがありますが、定められた適切な処置を行い、機械による殺菌ができない物には養生や使い捨ての物を使用することにより、感染の可能性をなくすことができます
冒頭でもお話ししましたが、タトゥーは資格がなくとも始められてしまいます。タトゥーをお願いするお店は対策を行なっているかどうか、これからタトゥーを入れる方のショップ選びの参考にしていただければと思います。